キリスト教徒の正当戦争の根拠

16世紀より、白人は世界中の有色人種の土地を侵略し征服しまくったわけだが、ローマ教皇の文書(もんじょ)には非常にしばしば異教徒の原住民に対する残忍な措置を許す内容が認められる。異教徒の土地を武力占拠し、原住民を奴隷化してもよいというキリスト教徒にとって正当戦争の思想上の根拠とは何であるか。
ポルトガルのジョアン三世が1530年より前の時点で、異教徒に対して戦争しうる条件について一法学者に諮問したのに対して答えた文書「いかなる原因により異教徒に対して正当戦争を行うことができるか」の中で次のように述べている。
  1. イスラム教徒やトルコ人
    これまでキリスト教徒の国土を不当に占拠し領有していたのであるから、彼らに対して行ってきた、また今後行うであろう戦争は正当である。
  2. 東洋各地やブラジル
    救世主は未信徒を改宗させ、霊魂の救済を行うように命じ、自己の利害をかえりみない宣教師を派遣したので、彼らは布教地で優遇を受ける権利がある。彼らの言に耳を傾けなかったり彼らを迫害した者に対する戦争は正当である。
  3. アメリカ大陸の原住民
    布教事業を妨害も圧迫もしない人々についてだが、彼らは自然法に反する重大な罪を犯すような野蛮な悪習を守り、それをやめようともしない。こういう者の土地を占拠し、武力で彼らを服従させる戦争は正当である。
ローマ教皇の勅書を支えた理論的根拠がこれであった。ここには人類が神の名において別の地域の人類を支配し、奴隷化することが許されているという審判の思想が存在する。


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参考文献 歴史年表