乙案(1941年10月)

甲案不成立の場合、日本は南部仏印進駐以前の状態に返り、アメリカもまた日本資産凍結令の廃止や重要物資取得など日本の最小限度の要求を認め、それによって戦争の発生を未然に防ぐための暫定協議案である。その要旨は以下のとおり。

  1. 日米両国はいずれも仏印以外の南アジア、南太平洋地域に武力進出を行わないことを確約する。
  2. 日米両国は蘭印においてもその必要とする物資の獲得が保障せらるる様互いに協力するものとする。
  3. 日米両国は相互に通商関係を資産凍結前の情況に復帰すべきである。南部仏印進駐の日本軍は北部へ移動し、米国政府は年100万トンの航空機用揮発油の対日供給を確約する。
  4. アメリカは日支両国の和平に関する努力に支障を与えるような行動に出ないこと。

このように乙案は日米間の基本問題を一応棚上げし、事態が決定的に悪化した南部仏印進駐以前の状態に戻して交渉をやり直そうというものであった。

参考文献:大東亜戦争開戦の経緯


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参考文献 歴史年表