翼賛選挙

「汚職を返上する」と称して昭和17年に行われた選挙をさすことが多い。これは「政治献金をもらうから汚職が起こる」ということで、推薦を受けた立候補者には選挙資金を交付するということになったが、実は、その選挙資金はすべて陸軍の機密資金からばらまかれたものだった。機密資金(臨時軍事費)で当選した議員は”臨軍代議士”と呼ばれた。この選挙で当選した人はすべて陸軍と癒着した議員だった。民間から一切金をもらってないのだから、選挙民や財閥などの顔色を気にする必要はない。その代り、「陸軍の言うことなら何でも聞く」という議員が大量に誕生した。こうなってしまえばもはや議会制民主主義は消滅したも同然である。
この翼賛選挙の一年半前の昭和15(1940)秋には、近衛首相を総裁とする大政翼賛会が発足し、すべての政治団体は解党し、日本に政党はなくなっていた。

  大政翼賛会

一般に、翼賛選挙とは、政府が統制をおこなう選挙のことをいう。政府方針に反対する候補に投票できない、もしくは投票しにくい状態を指す。支那(中華人民共和国)や北朝鮮をはじめとするあらゆる社会主義国の選挙は、基本的にこの翼賛選挙と同じである。
昭和17年の日本の「翼賛選挙」では、政府に反対する候補も一定数当選していることから純粋な意味での「翼賛選挙」には当たらないという見方もある。

翼賛選挙では確かに汚職はない。だが、そこでは議員と政府が癒着するという、組織的な汚職が起こっている。

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参考文献 歴史年表