1928年のパリ不戦条約(ケロッグ・ブリアン協定)以降、戦争を攻撃戦争(侵攻戦争)と防衛戦争(自衛戦争)とに区別する考え方が、現実的な意味をもつようになった。 パリ不戦条約(ケロッグ・ブリアン協定) 実質的な意味での侵攻戦争というのは、何も悪いことをしていない相手国に対して、たとえば、ある国が相手の国を攻撃して軍事占領して、その領土を全部併合して自国の領土の一部にしてしまおうという野望を持つとか、あるいは、自国が国家イデオロギーとして共産主義を奉じていて、よその国を制圧・征服して、その国に共産主義体制を押し付けようとか、そのように相手の国が何も悪いことをしないのに、本質的に不当な動機ないし野望を持って、攻撃する場合の戦争を、国際法では「侵攻戦争」という。 英語ではAggressive warあるいはWar of aggressionというが、このaggressionという言葉に対する日本語として日本の外務省はじめ緒官庁やマスコミが「侵略」と訳していることは問題である。 「侵略」という日本語は、辞書などでは「正当な理由がないのに他国に力ずくで入り込んで、領土や財物を奪い取ること」と説明されている。「侵略」という言葉は、「略取」「掠奪」というような、奪い取るという道義的に非常に悪い意味を内蔵している。しかし、英語のAggressionには「奪い取る」という意味は全くない。英語のAggressionは「挑発されないのに行う攻撃」を意味する。相手側が当方を怒らせるような、あるいは東方の権利を侵害するような不当な行為をしないのに、いきなりという方が不当な目的や動機によって相手方を攻撃する。これがaggressionである。要するに不当な先制攻撃のことである。Aggressionの日本語としては「侵攻」と訳すのが正しいと思われる。 国連国際法委員会 侵略(戦争)とは何かは今でも国際的にきちんと定義できてはいない。 |
参考文献 | 歴史年表 |