日本の8月28日回答

日本は8月26日の連絡会議で、フランクリン・ルーズベルトが8月17日に出した通告(8月17日通告)への回答を決定した。

この回答の骨子は以下のようなものである。
  1. アメリカは自己の原則信念に立って他国を非難するが、現在の国際的混乱の中で原因と結果を一方的に判断するのは危険である
  2. 一国の生存条件が脅かされたとき、対応措置や防衛手段を取るのは当然で、それを批判する前に、その原因を究明すべきである
  3. 仏印共同防衛は支那事変解決の促進と必要物資取得のための自衛措置であり、支那事変が解決するか極東に公正な平和が確立されれば直ちに仏印より撤兵する。またソ連を含め隣接諸国に進んで武力行使する意思はない
これらを明記した後、最後に、アメリカの言う「原則」や「プログラム」は太平洋地域に限定されるべきではなく、全世界に適用されるべきこと、またその実施に当たっては持てる国が資源の公平な配分に努力すべきことを提言しており、冷静で説得力のある名論だった。

また、同日の連絡会議においては近衛首相からルーズベルト宛のメッセージをも採択したが、それは従来の事務的商議にとらわれず、日米間の重要問題を討議し、時局救済の可能性を検討することを提案したもので、細目は会談後、事務当局に任せればよいとして、一刻も早い首脳会談を希望し、会見場所にハワイを提案したものだった。

この両文書は8月28日、野村がフランクリン・ルーズベルトに手交した。ルーズベルトは大いに乗り気の様子を見せたが、同席していた国務長官のコーデル・ハルは「首脳会談は事前にまとまった話を確認するだけのものにしたい」と繰返し主張し、日本の意図と根本的に反する態度だった。

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参考文献 歴史年表