ホロコースト(holocaust)という語は一般には大量殺戮という意味で使われるが、あまりにしばしばナチスの強制収容所で行なわれたユダヤ人その他の大虐殺に用いられたので、「the Holocaust」として今では固有名詞となっている。
アウシュビッツ
ナチスのホロコーストとは以下のようなものであった。
- ドイツ国内の療養所、看護施設にいるドイツ人の病人、障害者、心身障害児、神経病院にいるユダヤ人など約10万人が殺害された。
- ドイツ国内、続いて東ヨーロッパの占領下の国々でジプシーが捕らえられ、皆殺しにされた。犠牲者の数は50万人くらいといわれている。
- ポーランド占領中、牧師、教師、大学教授、新聞記者、起業家といった知識分子と指導層が組織的に殺害された。殺害された人数は100万人ともいわれる。ポーランドでは第二次世界大戦で600万人もの死者が出たが、そのうち約300万人が殺されたユダヤ人だった。
- 2、3年にわたって占領されたロシアの住民に対して指導層の皆殺しと住民の奴隷化が行なわれた。ドイツ軍に捕えられた戦争捕虜で、当然ながら生き残る者は少なかった。たとえば、1944年5月1日の文書によると、516万人のロシア兵が捕らえられ、この段階で187万人の生存が確認されていた。47万3000人が処刑され、300万人もが捕虜収容所で餓死していた。しかし、捕虜虐待はまだ形式上は戦争犯罪に入る。犠牲者の数は不明で、ポーランドよりも多いということしかわかっていない。
- 最大規模の大量殺戮はユダヤ人に対するものだった。これは有名すぎるので別ページで説明する予定。
- ナチは東欧やソ連の占領地区から金髪と青い目をした12歳以上の美少年や美少女を拉致して、ドイツ人として育てた。係累を経つため、親兄弟を皆殺しにし、出生証明書などを偽造した。その数は20万人といわれる。
ナチスのホロコーストは第二次世界大戦中に実行されたとはいえ、戦争とは関係のない行為だった。これはかなり誤解されている。
組織的な大量虐殺一般を「ホロコースト」と称することもあり、この点では、アメリカによる広島、長崎への原爆投下、東京大空襲をはじめとする都市無差別空襲は間違いなくホロコーストであった。
広島、長崎原爆投下
東京大空襲
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