唯物史観

歴史には一定の方向があるとして、原始共産制から古代奴隷制へ、古代奴隷制から中世「封建」制へ、中世「封建」制から現代資本制へ、現代資本制から未来の共産制へと、世界の歴史は未来に向かって段階を踏んで進み、最後には共産制にたどりつくと、歴史は止まる、と説く史観。こうした時代の分けかたを「発展段階説」という。

こうした時代の分けかたを発展段階説という。このマルクス主義の時代区分は、1991年にソ連が崩壊したあとでも、非常に大きな影響を残している。いまでも日本の中学校の教科書では、原始時代・古代・封建時代・近現代などと時代区分している。悪いことに、このマルクス主義の時代区分に、原始、古代、中世、現代という時代区分に、奴隷制とか、「封建」制とか、資本制とかいうような、それぞれの時代の支配的な生産形態と称する、余計なものをくっつけた。
マルクス主義の歴史観は、時代によって経済の仕組みが違っており、その上に乗っている政治制度も、それぞれの時代の経済の仕組みによって決まる、という前提に立っている。これが「下部構造が上部構造を決定する」という言い方で表現される考え方。

このマルクス主義の考え方は、あまりに非現実的、空想的な歴史観である。マルクス主義の発展段階説は、実際には歴史ではなくて、政治の理論だった。

そもそも「世界は一定の方向に向かい、段階を踏んで進化する」というような、空想的な歴史観がどうして生まれたかというと、それは19世紀初頭のヨーロッパで流行っていたダーウィンの進化論に触発されたからだ。生物の種の進化と同様、人間の社会も進化するはずだ、過去の世界は、現在の世界に進化するための準備段階であり、現在の世界は、未来の理想の世界に進化するための準備段階だ、という思い込みが、マルクス主義の発展段階説を生んだ。

  マルクス主義


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参考文献 歴史年表