右翼社会主義が台頭すると、陸軍内に皇道派と統制派という二つのグループが生まれた。この二派は抗争を繰り返していたから誤解されやすいが、一つの穴の狢である。 両派とも、天皇の名において議会を停止し、同時に私有財産を国有化して、社会主義的政策を実行することを目指していた。そうすることで、ブロック経済による大不況を解消し、強い日本をつくろうというのである。両者の間で違ったのは、日本を社会主義化するための方法論だけである。 皇道派は、二・二六事件を起こしたことからもわかるように、テロ活動によって体制の転覆を狙うグループである。彼ら若手将校が唱えていた「昭和維新」とは、要は「天皇の名による、そして天皇をいただく社会主義革命」であった。 これに対して統制派は、軍の上層部を中心に作られ、合法的に社会主義体制を実現することを目指した。これ以外は、ほとんど皇道派と変わらない。 五・一五事件 二・二六事件 |
参考文献 | 歴史年表 |