戦時国際法

戦争状態においてもあらゆる軍事組織が遵守するべき義務を明文化した国際法であり、狭義には交戦法規を指す。戦争法、戦時法とも言う。
これを守って行う軍隊同士の戦闘は、合法とされてきた(今でも戦争は違法ではない)。
現代では国連憲章により法的には「戦争」が存在しないため、武力紛争法、国際人道法(International humanitarian law, IHL)とも呼ばれる。
戦時国際法は、戦時のみに適用されるわけではなく、宣戦布告のされてない状態での軍事衝突であっても、あらゆる軍事組織に対し適用されるものである。
戦争犯罪を糾弾する際の法的根拠として主にハーグ陸戦協定ジュネーブ条約が参照される。

  ハーグ陸戦条約
  ジュネーブ条約

日本国民は概して、国際法、とりわけ戦時国際法を知らないで、自虐的にしか自国の戦争を見ない傾向が強い

東京裁判で日本政府は、天皇が裁かれるかどうかということを非常に心配していた。戦勝国が国際法に基づいて裁判を行っているのであれば、裁かれる心配など全くなかったのだが、そうではなかったからだ。
戦時国際法というのは17世紀の30年戦争の後に西洋で作られたものだが、これは二人の紳士が決闘する時の心構えに準じていた。つまり、国家同士の決闘であるということだ。決闘というのは紳士同士の「言い分」があることなので、裁判で善悪を決めることはできないとされていたのである。
戦時国際法は交戦法規を定めている。決闘のプロセスの中での、海戦手続きや捕虜を虐待してはならないなどについての規則である。だから戦争をしている国家の主体には、法は及ばない。
天皇は日本の元首だったから、戦争権を持っていた。他の国も大統領や首相が戦争権を持っていたのだ。
その戦争権とは何かというと、開戦する権利とか戦争を続ける権利である。だから、国際法では、「今から戦争をします」と開戦の宣言をすれば、戦争をしていい。ただ、日本は真珠湾攻撃を国交断絶以前に行ったということが問題だった。しかし、天皇陛下も東條英機首相も参謀総長も軍令部総長も連合艦隊司令長官も、日本の誰にも無通告攻撃する意思はなかった。日本が無通告攻撃をしてしまったのは、そもそも外務省の許しがたい失態である。

  大使館員の怠慢によって「奇襲攻撃」

このためか、外務大臣の東郷重徳は東京裁判で「海軍が海戦手続きをせずに真珠湾攻撃を行おうとし、しかもそれを裁判で言うなと当時の海軍大臣や軍令部総長に脅迫された」と証言した。
しかし、これを問題にするならば、アメリカは何度も戦争をしているが、戦闘の前に宣戦布告した例はない。テキサス占領でもハワイ占領でもグァムやフィリピンを手に入れた米西戦争でもそうだった。

  「リメンバーアラモの砦」
  ハワイ併合
  米西戦争「リメンバー・メーン号事件」


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参考文献 歴史年表