日本の8月28日回答を受けて、9月3日にフランクリン・ルーズベルトは近衛メッセージへの回答とオーラル・ステートメントを野村大使に手交した。 回答は、首脳会談に同意する明確な表現を避け、その前提条件として基本問題に関して合意するための予備会談が必要であるというものだった。8月17日の通告においては、ルーズベルトは首脳会談に原則的賛成する、と言っていたが、コーデル・ハルの意見が支配的となってたことを示していた。 オーラル・ステートメントに至っては4ヶ月も前に「日米諒解案」の基礎としてハルが提起したハル「四原則」を再び持ち出し、「4原則」によってのみ太平洋における平和が達成できるなどと言い出した。このような重大な時期に4ヶ月も前の「4原則」を提示してきたのは国務省当局の対日不信の表れで、首脳会談の延期と阻止を狙ったハル一味の策謀と見るのが妥当である。アメリカ側にとって交渉はすでに終わったも同然だった。 このような情勢で、日本はいつまでもあてのない対米交渉を継続すべきか、見切りをつけるべきか、見切りをつけて開戦すべきか、という重大決断を迫られることになった。数日後に開かれる御前会議で、10月中旬までに対米交渉解決の目処がつかない場合は、対米宣戦に踏み切ることを決定する。 御前会議(9月6日) |
参考文献 | 歴史年表 |